半焼でも火災保険から保険金が下りるの?
ここでは、火災保険における半焼の定義、および、半焼した際の保険金の考え方などについて詳しく解説します。
火災保険における全焼と半焼の違いと考え方
火災保険では、火災による被害について「全焼」「半焼」という言葉を使わず、「全損」「半損」という言葉を使います。以下、火災保険における「全損」「半損」の基準を見ていきましょう。
火災保険における全焼(全損)とは
また、以下の4つの条件のうち1つ以上を満たした場合、火災保険会社は「全損」(全焼)と判断します。
- 消防署が「全焼」と判断した場合
- 延床面積の70%以上を焼損した場合
- 原状回復に要する費用が保険金額を超えた場合
- 「焼き損害(※1)」の額と「消化損害(※2)」の額の合計が、火災直前の建物評価額の80%を超えた場合
火災保険における半焼(半損)
火災保険では、損害のレベルに応じ、「半損」を「大半損」と「小半損」の2つに分けています。
以下の2つの条件のうち1つ以上を満たした場合、保険会社は「大半損」と認定します。
- 延床面積の50%以上70%未満を焼損した場合
- 「焼き損害」の額と「消化損害」の額の合計が、火災直前の建物評価額の60%以上80%未満の場合
また、以下の2つの条件のうち1つ以上を満たした場合、保険会社は「小半損」と認定します。
- 延床面積の20%以上50%未満を焼損した場合
- 「焼き損害」の額と「消化損害」の額の合計が、火災直前の建物評価額の30%以上60%未満の場合
※1「焼き損害」…火災で焼失したり壊れたりした損害
※2「消化損害」…消火活動によって生じた損害(水による損害など)
半焼でも保険金は下りるのか?
半焼の場合であっても、火災によって建物に被害が生じている以上、当然ながら被害に見合った保険金が下りることとなります。
ただし、消防署が定義する「半焼」と保険会社の基準となる「半損」とは、意味がやや異なります。よって、たとえ消防署から「半焼です」と言われたとしても、かならずしも保険金額の半額が下りるわけではない点にご注意ください。
消防署の定義における半焼とは
以下の2つの条件を掃除に満たしたとき、消防署は半焼と判断します。
- 建物の「焼き面積」が、火災直前の建物評価額の20%超の場合
- 消防署が定める全焼とは判断されない場合
改めて火災保険における半焼(半損)と比べていただきたいのですが、消防署の半焼は、保険会社の半焼(半損)よりも、概念が広めです。保険会社では、半焼をさらに「大半損」と「小半損」に分けていることに注意してください。
半焼でも全焼(全損)と判断されることがある
消防署の判断では、半焼の基準の中に「消化損害」の額を入れていません。一方で保険会社は、半焼(半損)の基準の中に「消化損害」の額も入れています。
よって、かりに「焼き損害」の被害が小さめで消防署が半焼と判断したとしても、「消化損害」の被害が甚大になると、火災保険会社は全焼(全損)と判断することがあります。
また、そもそも設定している火災保険の保険金額が小さい場合、たとえ半焼であったとしても、補償額が保険金額に達してしまうことがあります。このような場合も、火災保険の世界では全焼(全損)と言います。