家を建て替えるときには火災保険を解約したほうがいいの?
ここでは、家を建て替える際の火災保険の扱いについて詳しく解説しています。家を建て替えるときには、いったん解約をして再契約する、という流れが基本です。
家を建て替える際には、いったん火災保険を解約する
家を建て替えることを決めた場合には、加入中の火災保険をいったん解約しましょう。
火災保険は個別の「建物」を対象とした保険
火災保険は、個別の「建物」を対象として加入するものです。加入者という「人」を対象として入るものではありません。よって、建て替えにより「建物」が変わった場合には、火災保険を契約しなおす必要があります。
なお、建て替え前の火災保険を解約しなくても法令上の問題はありませんが、そのままの状態では、存在しない建物に対して保険料を払い続けることになってしまいます。ムダな保険料を節約する意味において、建物が解体された時点で、火災保険を解約したほうが良いでしょう(解約すれば、保険の残存期間に応じて支払済みの保険料が返金されます)。
解約ではなく契約内容変更手続きでも良いが…
解約するのではなく、加入中の火災保険の契約内容を変更することも可能です。ただし、契約内容変更を選択した場合、建築期間中の保険料を余分に払ってしまうことになる恐れがあるので注意してください。
建築期間中の建物の所有権は、施主ではなく施工会社にあります。よって施工会社は、万が一の火災等に備え、建築中の建物を対象とした火災保険や建築工事保険などに加入しています。この保険料を、施主が負担する必要はありません。
建築期間中の保険料をムダに払わないよう、いったん火災保険を解約し、建物の所有権が異動する段階で新たな火災保険に加入したほうが良いでしょう。
建物の所有権移動に応じたタイミングで解約・再契約をする
建て替えに際して火災保険を解約・再契約する場合には、建物自体の所有権の移動に応じたタイミングで手続きをするようにしましょう。
建て替え中の建物の所有権と解約・再契約のタイミング
家の建て替えには、大きく分けて「旧宅の解体」と「新宅の建築」の2つのプロセスがあります。
このうち「旧宅の解体」中は、その建物の所有権が施主にあります。解体が終わって「新宅の建築」に入ると、その建物の所有権は施工会社に映ります。「新宅の建築」が終わって建物の引き渡しが終わると、建物の所有権は施主へと戻ります。
以上の所有権のプロセスを踏まえると、火災保険の解約・再契約のタイミングは次のようになるでしょう。
- 旧宅の解体が終了した段階で火災保険を解約する
- 新宅の引き渡しが終了した段階で火災保険を再契約する
念のため建築中の火災保険について施工会社に確認を
上記のとおり、建築中の建物の火災保険については、原則として施工会社が加入しています。
ただし例外的に、契約書の中に「建築中の保険は施主が負担する」「双方で協議して決める」などの表記があることがあるので、注意してください。なお民法には、世間の原則よりも当事者間の合意を優先する、という規定があるため、こうした契約は違法ではありません。
また、あえて建築中の保険に加入せずに、万が一のことがあったら会社が自己資金で再建築する、という姿勢の施工会社もあります。この場合、その施工会社に資金的な体力があれば良いのですが、余裕のない施工会社の場合、資金繰りの必要から再建築の着工時期が延びてしまう恐れがあります。
建て替えをする際には、契約書に印鑑を押す前に、建築中の火災保険の扱いについて、かならず施工会社に確認するようにしましょう。
保険料が返金されるタイミング
火災保険を解約すると、契約者が指定した銀行口座に、保険会社から解約返戻金が振り込まれます。振り込まれるタイミングは保険会社や解約日によっても異なりますが、解約手続き後、おおむね1週間程度で入金されると考えてください。
ただし、「解約の申し出をしてから1週間後」ではなく、「解約請求書を保険会社が受理してから1週間後」です。ややタイムラグがあることは、了承しておきましょう。
手続きから2週間経っても入金を確認できない場合には、保険会社や保険代理店に確認をとってみてください。
火災保険の詳細が不明になってしまったら
火災保険を解約する前提として、どの保険会社の火災保険に加入していたかを知らなければなりません。しかしながら中には、「何年も前に入った火災保険だから、どの保険会社とどんな契約をしたのか忘れてしまった」という方もいることでしょう。
加入した火災保険に関する詳細を忘れてしまった方は、以下のような方法で確認してみてください。契約した保険会社や代理店の名前さえ分かれば、直接問い合わせることで解約手続きを進めることができます。
契約した保険会社を忘れてしまったときの対処法
保険証券を探す
保険契約をした後に、保険会社から「保険証券」が送付されてきます。貴重品の収納場所などを確認してみてください。
通帳の履歴を確認する
過去にさかのぼって通帳の引落履歴を確認すれば、保険会社の名前を見つけることができるかも知れません。
携帯電話の電話帳を確認する
火災保険に加入する際、携帯電話の電話帳に、保険会社の担当者の電話番号を登録している人も多いようです。
郵便物を確認する
保険会社から郵便物が届くことがあります。また代理店を通じて契約した場合には、代理店の担当者から年賀状が届いていることもあります。
銀行で確認する
住宅ローンを組む際、銀行が提案してきた保険会社と契約している可能性があります。
有名な保険会社に電話をしまくる
有名な保険会社すべてに電話をして契約状況の確認をとります。10~15社ほど電話をすれば、契約した保険会社がヒットする可能性があるでしょう。
弁護士に相談する
弁護士の有資格者は、弁護士法によって全保険会社に契約状況を紹介する権限を有します。弁護士相談料がかかることを了承しておきましょう。