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放火を補償する火災保険

火災保険は、放火による被害も補償しています。ただし保険会社の「免責事由」に抵触した場合には、保険金は支払われません。放火と火災保険の関係について詳しく解説します。

火災保険における放火の補償範囲

放火による被害は火災保険の補償範囲に含まれないという声もあるようですが、それは間違いです。放火も失火と同じように、それが原因で被害が生じれば補償されます。

ただし、保険会社が定める「免責事由」に抵触した場合、補償の対象外となるので注意してください。免責事由は約款に細かく記載されてあるので、まだ確認したことのない方は、早めに確認しておいたほうが良いでしょう。

放火されても保険金が支払われないケース

放火による被害を受けたにも関わらず、火災保険では補償されないケースがあります。保険会社の「免責事由」に抵触したためです。以下、放火における一般的な「免責事由」について見ていきます。

故意による火災

被保険者が故意に自宅に放火した場合は、当然ですが保険金を受け取ることはできません。火災保険に限らず、どんな保険であっても故意に何らかの事故を起こした場合、原則として保険金は支払われません(例:生命保険における保険金殺人)。

なお、被保険者ではない同居の家族が故意に自宅に放火した場合もまた、一般には保険金が支払われないとされます。同居家族については、実質的に当該火災保険の被保険者とみなされるからです。

仮に同居家族による放火についての「免責事由」が規定されていない場合であっても、放火した者が未成年である場合には親の監督責任が問われるため、保険金は支払われないでしょう。

また、同様に同居家族による放火について「免責事由」が規定されてない場合で、かつ放火した者が成年であった場合は、いったん被保険者に保険金を支払ったのち、放火した者に対して保険会社から保険金額の請求がなされると考えられます。この場合、家族間でお金が移動するだけなので、実質は保険金が支払われないことと同じです。

過失による火災

放火であることには間違いないものの、家屋の所有者に「重大な過失」があった場合には、保険金を受け取れないことがあります。 ここに言う「重大な過失」についてのボーダーラインは、明確ではありません。専門家の間では「故意と過失の間くらい」と考えられています。具体的な判例としては、以下のような放火事例において、保険会社は保険金の支払いを免責されています。

  • 物件を3ヶ月間空き家として放置。物件の脇には大型の石油タンク。裏口には施錠されておらず、放火犯はそこから侵入して放火。(福島地裁)
  • 空き家を確認した管理者が、室内に大量の灯油がまかれていることを確認。しかし、警察に届けたり危険な状況を回避したりしようとする行動には出ずに放置。その日の夜、放火された。(新潟地裁)

保険会社と被保険者との主張に相違がある場合、「重大な過失」の具体的な規定がない以上は、裁判官の裁量によって「重大な過失」の有無を判断することになります。

火災保険以前に、可能な放火対策をしっかりと

放火による保険金を考える前に、可能な限り放火を予防することが大事です。マナーの守らない人が多く住むエリアでは、放火が多くなる傾向があるとされています。

「家の周りに燃えやすいものを置かない」「収集日以外にゴミを出さない」「植木はコマメに手入れする」等、地域住民全体で放火を予防する取り組みをしていくべきでしょう。

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