保険金額・建物評価額の算定方法
火災保険の保険金額の算定方法を中心に解説します。火災保険の選び方の参考にしてください。
保険金と保険金額の違い
火災保険の保険金額を理解するための前提として、まずは保険金と保険金額の違いを明確にしておきましょう。
保険金とは
保険金とは、損害があった際、実際に保険会社から振り込まれるお金のことです。家を全焼すれば保険金は2000万円になるかも知れませんが、ボヤであれば保険金は100万円にしかならないかも知れません。
保険金額とは
保険金額とは、保険金の上限額のことです。契約する補償内容や保険対象、保険料の額などによって保険金額は変わります。
たとえ時価2000万円の家だったとしても、保険金額1000万円で保険を契約すれば、保険会社から振り込まれる保険金は最大で1000万円です。
戸建て住宅の保険金額の算定方法
保険金と保険金額の違いを理解したところで、戸建て住宅の保険金額の算定方法を確認してみましょう。通常、保険金額は家の評価額をもとにして算定されます。
家の評価額の決め方
家の評価額の決め方には、「新価方式」と「時価方式」の2種類があります。
新価方式
まったく同じ家を新築で建て直すときにかかる価額を、新価と言います。再調達価額や再取得価額とも言います。
時価方式
新価から、時間の経過による消耗分を差し引いた価額を、時価と言います。
ほとんどの火災保険では新価方式を採用
家の建て替えにかかるお金の一部しか補償されない時価方式に比べ、建て替えにかかるお金の全額を補償される新価方式のほうが、契約者にとっては有利であることが分かるでしょう。
なお、かつては時価方式を採用している火災保険が多かったものの、現在では大半の火災保険で新価方式が採用されています。新価方式で計算された家の評価額に対し、契約者が何%を乗じるかによって保険金額が決まる形です。
火災保険を契約する際には、念のため、時価方式ではなく新価方式で家の評価額が計算されていることを確認しておきましょう。
新価方式の算定方法
新価方式で家の評価額を算定するにあたり、保険の対象となる建物が新築なのか中古なのか等により、計算方法が異なってきます。以下、家のタイプを4つに分けて、新価方式による評価額の算定方法を確認してみましょう。
新築住宅の保険金額
建物だけの価額が分かる場合
保険の対象となる建物が新築物件で、なおかつ、建物だけの購入価額が分かる場合には、その価額がそのまま新価となります。
建物だけの価額が分からない場合
建売住宅の中には、建物や土地などの価額の区別が不明瞭なことがあります。この場合、消費税からの逆算によって建物だけの価額を明確にし、これを新価とします。「建物には消費税がかかるが、土地には消費税がかかならい」という制度を援用した計算方法です。
<例>領収書の消費税欄に160万円と記載されていた場合
160万円÷0.08=新価2000万円
中古住宅の保険金額
築年と建築価額が分かる場合
建物の構造、築年、築年時の建物価格、および築年に応じた係数を考慮して新価を計算します。
<例>
M構造/平成10年築/新築時の価額2000万円=新価 約2100万円
T構造/平成15年築/新築時の価額2000万円=新価 約2200万円
築年や建築価額が分からない場合
建物の構造と延床面積、地域をもとに、新価を概算します。
<例>
M構造/延床面積130㎡/東京=新価 約1800万円
T構造/延床面積130㎡/大阪=新価 約2561万円