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シェアハウス向け火災保険

賃貸アパート等へ入居する際と同様に、シェアハウスに入居する際にも、火災保険に加入することが一般的です。ここでは、シェアハウス向けの火災保険の選び方や補償の範囲などについて詳しく解説します。

シェアハウス向け火災保険の選び方

アパートやマンションに入居する際に加入する火災保険と、シェアハウスに入居する際に加入する火災保険は、ほぼ同じものと考えてください。よって、すでにアパート等で火災保険に加入したことのある方にとっては、シェアハウスでの火災保険の加入手続きに関しても、スムーズに進むことでしょう。
以下、シェアハウス向けの火災保険を理解する前提として、まずは、すべての火災保険に共通する基本的な事項を確認してみます。

建物と家財の損害を補償

火災保険とは、建物と家財に損害が生じたとき、その損害分をお金で補償してくれるシステムのことです。火事で建物に損害が生じた場合だけではなく、火事で家電製品などに損害が生じた場合も、その損害額を補償します。また、火事だけではなく、台風や水害などで生じた損害額も補償するのが普通です。
特約(保険料を加算して補償の範囲を拡大させる契約)を付ければ、さらに補償の範囲が拡大。特約の内容によっては、地震によって生じた損害や、外出中に他人にケガをさせてしまったときの損害なども補償します。
火災保険の「火災」という文字から、「火事で燃えた建物の損害だけを補償するもの」というイメージをお持ちの方もいるかも知れませんが、実際には、その補償のカバー範囲は非常に広いことを理解しておきましょう。

シェアハウスでは少額短期保険に加入する例も多い

補償内容や保険期間の違いにより、火災保険は大きく「損害保険」の属するタイプと、「少額短期保険」に属するタイプの2つに分けられます。一般に火災保険と言う場合には、「損害保険」に属するタイプを指しています。
一方で、シェアハウスに入居する方の中には、「損害保険」タイプではなく、「少額短期保険」タイプに加入する例も多く見られます。「損害保険」と「少額短期保険」の違いを簡単に見てみましょう。

損害保険

最長で契約できる保険期間が10年。万が一の際に支払われる保険金の額は、建物等の状況によって決められた「保険金額」の範囲となります。取り扱っている業者は、損害保険会社です。

少額短期保険

最長で契約できる保険期間が2年(火災保険の場合)。万が一の際に支払われる保険金の額は、1000万円が上限となっています。取り扱っている業者は、損害保険会社ではなく、少額短期保険業者です。通称「ミニ保険」とも言われます。

以上のように、少額短期保険とは、文字通り、保険金額が少額で保険期間が短い保険商品のこと。一般的な損害保険に比べれば、契約者が支払う保険料も安くなります。
シェアハウスに入居する方の中には、比較的短期での入居(1~2年程度)を予定している方も少なくありません。よって中には、少しでも保険料を節約するという意味で、損害保険ではなく少額短期保険を選ぶ方も少なくないようです。

入居している部屋の「建物」部分と自分の「動産」が補償の範囲

一般的な火災保険においては、その補償範囲を、大きく「建物」と「動産」の2つに分けています。シェアハウスに入居する際にも、これら両方の損害を補償してくれる契約を結ぶことが一般的です。

「建物」を補償する保険とは

入居している部屋の構造物自体(壁や柱など)に損害が生じた場合、この損害額を補償する保険契約のこと。一般に「火災保険」と言います。

「動産」を補償する保険とは

入居している部屋にある「建物以外の所有物」に損害が生じた場合、この損害額を補償する保険契約のこと。家電製品や家具など、あらゆる所有物の損害を補償します。一般に「家財保険」と言います。

シェアハウスを含めた賃貸物件に入居する場合、物件のオーナーは入居者に対し「火災保険」への加入を入居契約の前提としていることが普通です。ただし、かならずしも「家財保険」への加入は前提としていません。
しかしながら、万が一火災などが生じた場合、「建物は燃えたけど家財は燃えなかった」という事態はありないでしょう。入居者自身の財産を守るためにも、「火災保険」に加えて、「家財保険」にも加入しておくことをお勧めします。

他人の部屋から自分の部屋に火が燃え移った場合

Aさんの部屋から出火してBさんの部屋に火が燃え移った場合、AさんにはBさんの部屋に生じた損害を補償する義務はありません。Bさんは火の「もらい損」となります。
やや奇妙な理屈に感じられますが、通称「失火責任法」と呼ばれる法律により、原則としてAさんは、他人の部屋に与えた損害を補償しなくても良いことになっています。

失火責任法とは

「失火責任法」とは、「隣の家に火事を移してしまったとしても、火元の人に重大な過失がない限り、責任を問いません」という内容の法律。火事で家を失って困っている人に他人の家の損害まで弁償させるのは酷だ、という趣旨から作られました。
万が一、隣の部屋から出火して自分の部屋に火が燃え移った場合、この損害を補償するのは、自分が加入している火災保険や家財保険。よって、火災保険や家財保険に加入していない部屋に火が燃え移った場合、文字通り、火の「もらい損」となります。この失火責任法は、シェアハウスにも適用されると考えられます。
「失火責任法」が存在する限り、シェアハウスに入居する際には、かならず火災保険・家財保険に加入しておきたいものです。

オーナーへの原状回復義務

もし、自分の部屋が火元となって他人の部屋に損害を与えた場合でも、「失火責任法」が適用されるため、シェアハウス内の他の部屋に対する補償を行う義務はありません。しかしながら、シェアハウスは賃貸物件である以上、火元の住人は、オーナーに対する原状回復義務を負うことになります。
原状回復義務とは、賃借している物件を元の状態に戻してオーナーに返す、という法的義務のこと。他人が住んでいた部屋も含めて原状回復をする義務はありませんが、自分が住んでいた部屋に関しては、元通りの姿に戻してからオーナーに返さなければなりません。
この原状回復義務に要する費用を補償するものとして、火災保険には「賃借人賠償補償」という特約が用意されています。この特約への加入は義務ではありませんが、シェアハウスに入居する場合には加入を検討すべきでしょう。
ちなみに、他人の部屋からのもらい火で部屋に損害が生じた場合、もらい火の被害者自信がオーナーに対する原状回復義務を負うことになります。

シェアハウス側が具体的な火災保険を決めていることが多い

ここまで読んできた方の中には、「火災保険は難しい」「結局、どんな保険に入ればいいか分からない」と感じた方もいることでしょう。
そんな方々のために、多くのシェアハウスでは、あらかじめ入居者に対して加入すべき火災保険を用意しています。建物を補償する「火災保険」から、動産を補償する「家財保険」まで、入居者にとって最適な保険を用意していることが一般的なので、入居契約をする際には、併せて保険の契約もしておきましょう。
ただし保険契約をする前に、補償の内容をしっかりと確認しておいてください。プランの中に必要な補償が入っていない場合には、特約を追加するなどして、安心のプラン内容に変更してから契約するようにしましょう。

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