火災保険の長期契約と短期契約の違い
火災保険には長期契約(5年、10年など)と短期契約(1年)があります。それぞれの違いを理解するとともに、どちらのほうが契約者にとって有利かを以下で検討してみます。
火災保険の見積もり・契約に必要な書類
火災保険を契約するためには、その前提として保険料の見積もりを依頼することになります。各保険会社とも、見積もりの段階において以下の内容を証明できる書類を求めてきます。
- 物件の住所
- 建築年月
- 構造・延床面積
これら3つの内容については、以下のような書類に記載されています。見積もりの前に用意しておきましょう。
- 建築確認申請書
- 検査済証
- 確認済証
- 仕様書
- 図面
- 住宅性能評価表
- 全部事項証明書
- 工事請負契約書
- 重要事項説明書(マンションの場合)など
まずは契約候補となる保険会社に問い合わせ、どのような書類が必要かを事前に確認してみると良いでしょう。
また、実際に契約する段階においては、次のような内容を証明する書類の提出が求められます。
- 構造・延床面積(マンションの場合は、構造・専有面積)
- 耐火構造
構造・延床面積については、見積もり段階で用意した書類に記載されていることがほとんどです。耐火構造については、「建築確認申請書」に記載されています。
証明書類が手元にない場合には、ハウスメーカーに問い合わせて用意してもらうと良いでしょう。
なお、地震特約を設定する場合には、耐震構造の仕様を証明するための書類が必要となります。
【火災保険】長期と短期は何が違う?
損害保険を大きく長期契約(1年以上)と短期契約(1年未満)に分けた場合、火災保険は長期契約が主流となっています。
他のほとんどの損害保険において短期契約が主流となっている中、火災保険は金融機関における資金保全の趣旨から、長期契約が主流となったとされます。つまり、火災で住宅ローンの返済が滞ったときの担保ということです。
もちろん、火災保険においても短期契約は可能です。短期契約の場合は、長期契約に比べて「保険の見直しがしやすい」というメリットがあります。あるいは、契約者自身が契約内容を忘れにくい、といったメリットもあるでしょう。
長期に比べると保険料は割高になりますが、毎年見直しをすることが手間と感じない方の中には、あえて短期を選ぶ例も見られます。
【火災保険】長期契約のメリット
長期契約の最大のメリットは、なんと言っても保険料が割安になる点です。
どれくらい割安になるのかを知るための指標として「長期係数表」というものがあります。以下、某・大手保険会社の「長期整数表」で、短期契約(1年)と長期契約(5年)の係数を比較してみましょう(2015年8月現在のもの)。
長期係数表 | |
---|---|
1年契約 | 1.00 |
5年契約 | 4.30 |
1年契約の係数は「1.00」。1年契約を5回繰り返して合計5年分の補償をつけた場合には、単純に「5.00」の保険料を支払うことになります。
一方で、最初から5年契約を結んだ場合には、合計で「4.30」の保険料を支払えば良いということになります。
現在、長期契約は最長で10年まで認められていますが、上記の保険会社で10年契約をした場合には、係数が「8.20」となります。つまり、実質8.2年分の保険料で10年間の補償が受けられる、ということです。
ただし、長期契約の場合は一括払いが原則です。そのため一時的な負担は大きくなります。また見直しの機会が少なくなるため、補償内容を忘れてしまうといったデメリットもあります。
メリット・デメリットをしっかり比較したうえで、ご自身で納得のできる補償プランを選んでいきましょう。
特別な理由のない限り長期契約がおすすめ
長期・短期を比較した場合、当サイトとしては長期をおすすめしています。理由は、やはりその大きな割引率です。
たとえば年間保険料30,000円の火災保険を想定してみましょう。
1年ごとの短期契約で、10年間契約を更新し続けた場合、トータルで支払う保険料は300,000円になります。
一方、10年一括の長期契約をした場合、上記で示した大手損保会社の例に照らせば、トータルで支払う保険料が246,000円となります。補償内容・補償期間が変わらないにも関わらず、実に54,000円もの保険料を節約することができるのです。
特別な事情のない限り、火災保険を検討する場合には長期契約を選択したほうが良いでしょう。