引越しの際に火災保険はどうすればいい?
ここでは、引越しをする際の火災保険の継続に関して詳しく解説します。新居に火災保険を継続できないケースあるので、ご注意ください。
引越しをする際に必要となる火災保険の手続き
火災保険が補償している対象は、特定の物件に対する被害です。よって引越した場合、その契約が自動的に新居に継続されるわけではありません。万が一の被害に備え、引越しが決まったら早い段階で住所変更手続きや、解約・新規契約などの手続きを行なうようにしましょう。
新居に契約内容を継続させる場合
引越し前に加入していた火災保険を、そのまま新居に継続させたい場合には、保険代理店に引越しの旨を伝えて異動手続きを済ませてください。異動手続きをすることで、指定の日から補償の対象となる物件が変更となります。
ただし旧居と新居では、その評価額や構造が異なる可能性があります。これらが異なれば、保険金額(保険金の上限)や保険料が変更となってくるため、改めて新居に適した契約内容に変更する必要があります。[1]
なお、持ち家と賃貸物件との間における引越しについては、それぞれの火災保険の商品性質が異なるため、加入中の火災保険を解約して、新たな火災保険に加入する必要が生じます。
引越しに伴って解約をする場合
賃貸物件から持ち家への引越しなどのように、それまで加入中の火災保険を継続できない例の場合には、いったん火災保険を解約して新たな火災保険に加入する必要があります。この際、中には加入中の火災保険の解約手続きを失念し、新たな火災保険の加入手続きだけを行なう人もいるようなので、注意が必要です。
火災保険を解約すると払いすぎの保険料が返金される
火災保険を途中で解約した場合、すでに支払っている保険料の一部が返金されることがあります。この際に返金されるお金のことを、解約返戻金と言います。1年契約の火災保険に加入しながら6ヶ月で引っ越した場合、残り6ヶ月分の保険料を余分に払っている計算になります。この保険料の調整が、解約返戻金です。忘れずに返金してもらいましょう。
解約のタイミングは退去日
火災保険を解約するタイミングは、旧居の退去日としてください。退去日前に解約してしまうと、万が一火災が発生した場合、保険金が支払われません。
仮に自分は火に気を付けていたとしても、隣家から火災が類焼した場合、隣家にはその損害賠償責任は生じないので(失火責任法)、保険契約は必ず退去日の当日にしてください。なお、保険会社に申し出ることで、事前に解約日を指定することができます。
解約返戻金の返金のタイミングは約1週間後
火災保険の解約手続きをすると、その約1週間後に指定の口座へ解約返戻金が振り込まれます。 解約の申し出をしてから約1週間後ではなく、解約請求書を保険会社が受理してから約1週間後に振り込まれる点に注意してください。
新居に火災保険を継続できるケースとできないケース
引越し後、以前住んでいた家で加入していた火災保険を、そのまま継続できるケースと、継続できないケースとがあります。継続できない場合には、以前の火災保険を解約して、新たな火災保険に加入する必要があります。
新居に契約を継続できるケース
持ち家から持ち家に引っ越す場合
ち家から持ち家に引っ越す場合は、加入中の火災保険の異動手続きを行なうことで、契約を継続することができます。 ただし、引越し後も以前の家を所有する場合には、その火災保険を残した状態で、新居用の新たな火災保険に加入したほうが良いでしょう。
賃貸物件から賃貸物件に引っ越す場合
貸物件から賃貸物件へ引っ越す場合は、持ち家の場合と同様、保険の異動手続きを行なうことで契約が継続されます。 ただし、賃貸物件を管理する会社やオーナーによっては、指定の火災保険への加入を義務付けているケースもあります。その場合、以前の火災保険を解約して、指定の火災保険に加入する必要が出てくるかも知れません。
新居に契約を継続できないケース
持ち家から賃貸物件に引っ越す場合
持ち家向けの火災保険と、賃貸物件向けの火災保険は、異なる商品となります。よって、持ち家用の火災保険を、新居である賃貸物件に継続させることはできません。加入していた火災保険を解約し、新たに賃貸物件用の火災保険に加入してください。ただし、引越し後も以前の持ち家を所有し続ける場合には、その火災保険を解約しないようお勧めします。
賃貸物件から持ち家に引っ越す場合
上記と同じ理由で、賃貸物件の火災保険を解約し、新たに持ち家用の火災保険に加入してください。ただし、引越し後も以前の賃貸契約を継続させる場合には、その火災保険を解約しないようにしましょう。
火災保険の解約手続き
火災保険の解約手続きは、一般に保険会社のコールセンター経由、または保険代理店にて行います。
コールセンター経由で解約する場合
保険証券等に記載されている「コールセンター」「お問合せ先」などに電話をし、解約したい旨を伝えましょう。後日、解約に必要な書類が送付されるので、必要事項を記入のうえ返送してください。
なお転居予定日が差し迫っている場合には、新居宛に書類を送付してもらうよう伝えたほうが良いでしょう。
保険代理店にて解約する場合
火災保険の書類を提出した同じ保険代理店にて、解約の手続きをすることができます。新居を決める際の不動産会社が保険代理店を兼任していることもあるので、確認してみてください。
直接代理店に赴いて解約しても、書類の郵送を通じて解約しても構いません。
なお昨今は、インターネット上のみで解約手続きが完了する保険会社もあります。また、書類を介さずに電話一本で解約できる保険会社もあるようです。ただし大半の保険会社は、まだ書類のやり取りが必要となっていることを了承しておきましょう。
引越しで火災保険を途中解約すると違約金が発生する?
火災保険を途中解約しても、保険会社から違約金を請求されることはありません。違約金とは逆に、むしろ解約返戻金が入金されることは上述の通りです。
ただし了承しておきたい点が一つ。解約返戻金は、満額が戻るわけではないという点です。
月割計算で満額が戻るわけではない
かりに6ヶ月分の契約期間を残した状態で火災保険を途中解約したとしても、月割計算で6ヶ月分満額の保険料が戻るわけではありません。残った保険契約期間に応じ、一部の金額を差し引かれたお金が振り込まれる形です。
この保険会社による徴収分を、実質的に違約金と解釈できるかも知れません。
不動産会社での物件解約手続きは早めに
火災保険とは異なりますが、引越しが決まった際には、不動産会社で物件の解約手続きや売却手続きなども、早めに行いましょう。
たとえば賃貸物件の場合、最低でも転居の1ヶ月前には不動産会社に連絡することがマナーとなっています。転居予定日のギリギリになって解約を申し出た場合、1ヶ月分の家賃を余分に請求される恐れもあるので注意しましょう。
せっかく火災保険から解約返戻金が入金されても、余分な家賃の支払いで相殺されてしまっては意味がありません。