分譲マンションの火災保険選び
賃貸よりも長く住み続ける分譲マンションだからこそ、もしものときに後悔しない火災保険の選び方をしっかり押さえておきたいもの。ここでは、分譲マンションに最適な火災保険の補償や特約の選定ポイントをご紹介します。
費用対効果や立地で選ぶ、分譲マンションに最適な火災保険
分譲マンションを購入する際、不動産会社から火災保険への加入を勧められた方は多いでしょう。「どの保険会社で契約しても大して変わらない」と思って選んでしまうと、必要のない補償に保険料を支払ってしまうかもしれません。損をしないための賢い火災保険の選び方をしっかり把握しておきましょう。
補償内容の選択ポイント
分譲マンションにおいて「水濡れ」の補償は特に大切です。一戸建てと違って分譲マンションは集合住宅になるため、上階で生じた水漏れによって居住エリアや家財に被害がでる可能性があります。
共用部分が原因による漏水被害は共用部分の火災保険で補償するので、共用部分の保険内容の確認をお忘れなく。また、セキュリティ面が重視されている分譲マンションだと「盗難補償」は不要かもしれませんが、不安を感じる場合は選択肢に入れておいてもいいかもしれません。
分譲マンションの立地や地域によっては「水災」や「風災」「雪災」による損害の補償が不要になるケースもあります。万が一のために補償をつける場合でも、家財にまで被害が及びそうにないときは家財だけ補償対象から外しておくのも保険料を安く抑えるコツです。ただし、自然災害はいつ・どこで発生するか分からないもの。不安な方は自分にとって必要な補償が何かをしっかり検討しておきましょう。
契約や保険料の選択ポイント
分譲マンションに火災保険を掛ける際、マンションの購入額と同額の火災保険を契約してしまうのは要注意です。分譲マンションの購入額には土地の値段(区分所有権)が含まれていることが一般的。土地には火災保険が適用されないため、区分所有権が含まれた購入額で火災保険を契約すると、不必要な保険料を払うことになってしまうのです。
また、分譲マンションで災害時に被害を受けやすいのはカーテンや家具、もしくはキッチンなど。家財を火災保険の対象にしておくと、損害を受けた際の買い替えに必要な補償を受けられます。
特約の選択ポイント
マンションの保険請求で多いのが「水濡れ」による被害。給排水管の破裂により居住エリアに被害が出た場合に補償してもらえる「水濡れ補償」は人気の特約です。基本的に火災保険の補償内容に含まれていますが、火災保険会社によっては特約として設けられているケースもあるため、事前に確認しましょう。
集合住宅では、自分自身の過失によって他人に損害を与えてしまう可能性があります。たとえば、外出中に洗濯機のホースが外れて階下に水漏れの被害を出した場合は、損害額を賠償しなければいけません。「個人賠償責任補償」を特約につけておけば、保険金で補償できます。マンションによっては管理組合が一括加入しているケースもあるので、確認しておくとベター。
分譲マンションで火災保険を比較する時の注意点
火災保険の契約を検討したとき、どの保険会社にしようか迷ってしまうもの。料金の安さだけで選んでしまうと必要な補償がついていなかったり、逆に料金が高くてサポートがしっかりしていても不要な補償がプランに組まれていたりすることもあります。どの保険会社にしようか比較する際は、料金と補償のバランスがしっかり取れているかコスパの良さをチェックしましょう。
さまざまな災害やリスクに幅広く対応しており、自分に合った補償を柔軟に選べる保険会社を選ぶと◎。一戸建てとは必要な補償が違う分譲マンションだからこそ、マンションに特化した補償内容が充実しているかも比較する際に見ておきたいポイントです。長く住み続ける分譲マンションだからこそ、自分にぴったりのプランが選べる保険会社を選びましょう。
専有部分と共有部分について
マンションには居住エリアの「専有部分」と全体で使用する「共有部分」があります。個人で保険会社と契約する場合は「専有部分」を保険対象とすることが一般的。専有部分と家財に対して補償を受けられます。階段や通路、玄関ホールなどの「共有部分」に対する火災保険は、マンションの管理組合が契約。その際に契約する火災保険や補償内容は組合が選定します。
そのため、共有部分が原因の水漏れで被害を受けたときの補償がしっかりしているかをマンション購入前に必ず確認しておくのをお忘れなく。もしもの時に損をせずに済みますよ。
補償される建物の範囲
分譲マンションが所有するスペースには、個人の専有部分と、マンション住人全員の共有部分とがあります。これらのうち、個人が加入する火災保険で補償される建物の範囲は、個人の専有部分のみとなります。
個人の専有部分の範囲
個人の専有部分とは、部屋の内部全体のこと。床や壁、窓など個人専有部分を区切るものや、扉など部屋に固着しているものも含め、部屋の内部全体にあるものを指して個人の専有部分となります。
ベランダや庭は個人の専有部分ではない
マンション1Fの住人に与えられた庭や、上階の住人に与えられたベランダは、通常、火災保険における専有部分となりません。
庭は、個人に与えられた利用権です。所有権ではありません。ベランダは、火災・地震などの際に、マンション住人全員が避難に使用することができる共有部分です。普段は個人がいたとしても、災害時のベランダの用途に照らし、火災保険では共有部分とされています。
補償される家財の範囲
基本的に、個人が所有しているすべての動産が家財保険の補償範囲と考えてください。家電製品、家具、日用品、衣類、書籍、子供のおもちゃ等々です。
ただし、以下のものについては、家財保険の保証の対象外となるので注意が必要です。
家財保険で補償されないもの
生き物
植物や動物などの生き物は、家財保険の補償対象となりません。
現金や有価証券など
盗難の場合を除き、現金や有価証券、切手、プリベイドカードなどは補償されません。預金通帳も補償の対象外です。
ソフトウェアやプログラム
ソフトウェアやプログラムなどのように、その換金価値が判断しにくい著作権物等は補償されません。
1点30万円を超えるもの
1点30万円を超える高価な貴金属、楽器などは補償されません。ただし、保険契約時の申込書に「明記物件」として記載したものについては、30万円を超える貴重品であったとしても補償の対象となります。
業務用のもの
自室内にある業務用の動産は補償されません。
自動車やバイクなど
自室の外に置いている自動車やバイクなどに損害が生じても、家財保険では補償されません。自動車やバイクの損害を補償する保険は、火災保険ではなく自動車保険です。
専有部分の建物評価額の算定方法
マンションの評価額は、新築時に購入したものか、または中古で購入したものかにより、計算方法が異なります。
新築マンションの評価額
「新価費倍法」という方法で、専有部分の建物評価額が計算されます。
新価費倍法
税抜の建物金額を算定したのち、40%を乗じる計算方法です。たとえば税抜3000万円で購入したマンションの場合、「3000万円×40%」で1200万円が建物評価額です。
中古マンションの評価額
「新築費単価法」という方法で、専有部分の建物評価額が計算されます。
新築費単価法
その建物の新築時の1㎡あたりの単価と専有面積とを乗じる計算方法です。たとえば1㎡あたりの単価が20万円で専有面積が60㎡の場合、「20万円×60㎡」で1200万円が建物評価額です。