火災保険に解約返戻金はある?算出方法は?
ここでは、火災保険における解約返戻金(かいやくへんれいきん)について解説します。保険期間が満了になる前に火災保険を解約すると、一般には解約返戻金と呼ばれるお金が返金されることになります。
解約返戻金とは?
解約返戻金とは、保険期間が満了を迎える前に保険を解約した際、保険期間の未経過分に応じて返金される保険料のこと。いわゆる掛け捨てではないタイプの保険では、通常、解約返戻金制度が設けられています。
火災保険の場合、多くの人が5年や10年といった長期保険契約を結んでいます。長期保険契約の場合、保険期間満了までその住宅に住んでいれば問題はありませんが、保険期間の満了が来る前に、その住宅から別の住宅へと引っ越してしまうこともあるでしょう。
仮に火災保険を10年契約で結んでいたとして、5年後に転居をしてしまった場合、残り5年分の保険料を過剰に支払った格好になります。このような時に保険会社に解約を申し出ることで、解約返戻金として支払い済みの保険料の一部が返金されるのが解約返戻金の仕組み。転居をする際には、忘れずに火災保険の途中解約を申し出るようにしましょう。
地震保険にも解約返戻金は存在する
火災保険加入時に、地震保険にも加入するという方も多いものです。火災保険の解約をするということは、それに付随する地震保険も解約になるということ。火災保険の解約返戻金とは別に、地震保険にも解約返戻金は存在します。
地震保険は最長5年契約なので、解約返戻金の金額も火災保険よりも低くなります。ですが、「地震保険のことを忘れていた」とならないように、火災保険を解約する際には、地震保険についても確認を忘れないようにしてください。
契約者から解約を申し出ることで手続きが進む
解約返戻金を受け取るためには、契約者が自分で保険会社や保険代理店に解約を申し出なければなりません。仮に、保険会社が契約者の転居の予定を知っていたとしても、それによって保険会社から解約の提案をしてくることは、通常はありません。
また、火災保険を解約する際には、所定の解約申請書類に記入のうえ保険会社に提出する必要があります。電話一本で解約できるわけではないので、転居等を予定している方は、余裕を持って手続きを進めましょう。
火災保険解約の流れについて
- 保険会社か保険代理店に連絡して解約を申し出る
- 保険会社から必要書類が自宅に送付される
- 書類に署名・捺印をする
- 解約返戻金がある場合は返金のための口座を記入
- 保険会社に返送する
- 書類到着後約1週間で解約返戻金が入金される
実際に火災保険が解約されるのは、保険会社に必要書類が届いたときです。スムーズに手続きを進めるためにも、引越しによる解約の際には、「書類送付先の住所」にも注意してください。
引っ越し前の住所に送付されると、その分手続きが遅くなってしまいます。解約が遅くなれば解約返戻金の金額も少なくなってしまう可能性が高いので、なるべく早めに連絡をしてください。
解約返戻金の算出方法
解約返戻金の額は、次の3つのステップを経て算出されます。
- 1.保険期間・経過年数・一括払い保険料の確認
- 契約した保険期間、契約から解約時までの経過年数、一括払いで支払った保険料を確認します。
- 2.「未経過料率係数表」と照合し係数を確認
- 保険会社が提示している「未経過料率係数表」と保険期間・経過年数を照合し、解約返戻金を計算するうえでの係数を確認します。
- 3.一括払い保険料に係数を掛けて解約返戻金を算出
- 一括払い保険料に2の係数を掛けることで、解約返戻金を算定します。
なお、「未経過料率係数表」は、各保険会社によって内容が異なります。詳しくは、契約した保険会社に問い合わせるようにしましょう。
また、地震保険の「未経過料率係数」は、どこの保険会社でも一定で定められています。地震保険の場合も、火災保険と同様、保険期間と経過年数を照合して係数を確認します。
解約返戻金は長期契約の方が有利
解約返戻金は、契約期間と経過期間を参考に算出されますが、同じ年数で解約したとしても、長期契約をしていた方が多く戻ってくることになります。それは、「契約期間がどれだけの割合で消化されているか」というポイントから、返戻金が算出されるためで、2年契約の中の1年経過では50%の消化率のところ、10年契約の中の1年であれば10%の消化率となり、残り90%分が返還されることになるからです。
解約返戻金が返還されない場合
火災保険を解約しても、場合によっては解約返戻金が返還されない場合があります。その条件とは、「残りの契約期間が1か月に満たない場合」です。「未経過料率係数」が表される表では、1か月未満の日数を1か月として換算するため、残りの契約期間が1か月に満たない場合は、契約期間が残っていないとみなされるからです。
これは、地震保険にも同じことが当てはまります。つまり、火災保険10年と地震保険5年に加入した後、4年11か月と10日で解約した場合は、「火災保険5年分」の解約返戻金のみが受け取れるということです。