火災保険は積み立てと掛け捨てのどちらを選ぶべき?
ここでは、掛け捨て型火災保険と積み立て型火災保険について、それぞれ比較しながら解説します。双方のメリットやデメリットも踏まえ、よりライフスタイルに合ったタイプの火災保険を選びましょう。
火災保険にも積み立て型と掛け捨て型がある
「掛け捨て型」や「積み立て型」と聞くと、一般には生命保険をイメージする方が多いかも知れません。ところが実は、火災保険にも掛け捨て型と積み立て型の2種類があるのです。まずはこのことを理解しておきましょう。
火災保険における積み立て型と掛け捨て型の考え方は、生命保険における考え方と特に変わりません。積み立て型は、満期が来た際に満期返戻金を受け取ることができるタイプ。貯蓄性の高い火災保険ということです。逆に掛け捨て型は、満期が来ても掛け金を受け取ることはできません。
一見、積み立て型のほうがお得感のあるように感じるかも知れませんが、満期返戻金の額や、支払い保険料の違いなどを考慮すると、一概にどちらがお得とも言えません。各世帯に合った保険を選ぶことが大切です。
積み立て型火災保険のメリット・デメリット
積み立て型火災保険のメリットとデメリットを見ていきましょう。
メリット
満期返戻金を受け取ることができる
積み立て型火災保険には貯蓄機能があるため、満期が訪れた際には満期返戻金(保険証券に記載の金額)を受け取ることができます。
満期返戻金が支払われるためには条件があり、契約が継続して満期を迎えたこと、保険料をすべて支払っていることの2点があります。
保険機能と貯蓄機能の両方がある
積み立て型火災保険には、万が一のときの保険機能と、保険料の貯蓄機能の両面があるため、掛け捨て型火災保険に比べて、お得感があると感じる人も多いようです。
また、預金よりも保険の方が圧倒的に現金化しにくいため、利率は高めに設定されている場合が多いようです。そのため、貯蓄性を重視して預金か積み立て型火災保険を利用する場合は、積み立て型火災保険の方が有利になる可能性が高くなります。
掛け金よりも多くのお金が戻る可能性もある
保険会社における保険料の運用次第では配当金が支払われたり、または掛け金よりも多くの満期返戻金が戻ったりするケースがあります。
満期返戻金を100%以上に設定している保険会社であれば、投資感覚で積み立て型保険金を利用することもできるでしょう。また、配当が支払われる場合は、設定されている予定利率以上の運用収益があった場合で、「契約者配当金」という形で支払われます。
デメリット
保険料が高い
積み立て型火災保険は、掛け捨て型火災保険に比べて保険料が高くなります。満期まで保険料を支払い続けられるかどうか、慎重に検討してからの保険契約が必要です。
後にご紹介するように、早めに途中解約した場合は、払い込んだ保険料が返還されないケースもあるので、家計にとって無理のない保険料であることを確認しましょう。
途中解約した場合、返戻金が戻らないこともある
積み立て型火災保険の種類によっては、途中解約した場合、返戻金が戻らないことや、掛け金の一部しか戻らないことがあります。転勤や転居等で家を手放すことになったとき、それまでの掛け金がムダになる可能性も考慮しましょう。
途中で解約した場合は、「解約返戻金」として返還されることがほとんどですが、加入してすぐに解約をすると、解約返戻金も受け取れないケースも存在します。解約返戻金の金額を決める返戻率は、「解約返戻金 ÷ 払込保険料の合計」です。
必ずしも掛け捨て型よりお得とは限らない
仮に100万円の保険料に対して80万円の満期返戻金だった場合、差額の20万円はマイナスとなります。この場合、保険料20万円の掛け捨て型火災保険と同じことになります。満期返戻金の金額次第では、掛け捨てより損をする可能性もあるのです。
全損終了した場合は満期返戻金はなし
積み立て型火災保険に加入している期間中に、もしも住宅が全焼するような火事があれば、「全損終了」となってしまうので満期返戻金はありません。全損終了とは、保険金額のすべてが支払われるような大きな火災があった場合、その火災に対して保険金が支払われて、保険が強制的に終了するというものです。
満期を待たずに保険期間が終了するのですから、当然満期返戻金は支払われなくなります。もし、満期返戻金をライフプランに組み込む場合は、火災が起きる可能性も含めて考えなければなりません。
積み立て型火災保険はこんな人におすすめ!
たとえ月々の保険料が高くなっても貯蓄性を重視したいという人には、積み立て型火災保険がおすすめです。保険期間内に家を手放す可能性はないかどうかなど、慎重に考えて検討してみましょう。[1]
掛け捨て型火災保険のメリット・デメリット
掛け捨て型火災保険のメリットとデメリットを見てみましょう。
メリット
保険料が安い
同じ程度の補償内容の積み立て型火災保険に比べ、掛け捨て型火災保険の保険料は圧倒的に安く設定されています。
万が一のときの補償がしっかりしている
保険料は安いものの、当然ながら、万が一のときの補償はしっかりしています。補償内容という点で考えれば、保険会社によって決まるものなので、火災保険のタイプによって決められるものではありません。
ですが、掛け捨て型火災保険は保険料が安いので、多くの補償や特約を付けやすくなります。基本の保険料が高くなる積み立て型火災保険では、必要最小限の補償にしなければ負担が増えますが、掛け捨て型は、補償内容を充実させやすいと言えるでしょう。
いつでも解約できる
積み立て型火災保険の場合は、途中で解約すると、掛け金が一切戻らないケースもあります。それに対して掛け捨て型火災保険の場合は、途中解約をした際のデメリットがないため、いつでも解約・見直しをすることが可能です。特に、火災保険の保険料は、契約が長期になればなるほど安くなります。
そのため、できるだけ長期で、なるべくなら最長10年で契約しようとする方が多いもの。そのような場合でも、いつでも気軽に解約できるという点は、大きなメリットとなります。
デメリット
掛け金が戻らない
掛け捨てなので、掛け金(保険料)は一切戻りません。一般に、どの種類の保険であっても、掛け捨てのデメリットは「掛け金が戻らない」の一点と言われています。
掛け捨て型火災保険はこんな人に向いている
将来の貯蓄性を重視するよりも、月々の保険料を少しでも安く抑えたい人には、掛け捨て型火災保険がおすすめです。保険料が安いので、万が一のリスクに備えた必要経費と考えても良いでしょう。
みんなはどちらのタイプの火災保険を選んでいるの?
掛け捨て型と積み立て型の火災保険。いったいどちらのほうが人気なのでしょうか? セコム損保が年代別に「どちらのタイプを選ぶか」というアンケート調査を実施しています。以下、10代~20代の回答、および30代~40代の回答について見ていきましょう。
10代~20代の人たちの回答
「掛け捨てを選ぶ」と回答した人…58%
「積み立てを選ぶ」と回答した人…42%
回答者の声
- 「月々の保険料が安いので、掛け捨てのほうが良い」
- 「できれば積み立てにしたいけど、保険料が高いので支払えない」
- 「継続できない可能性もあるので、積み立ては難しい」
- 「積み立ては別の保険でやっているので、火災保険は保険料節約のため掛け捨てでいい」
- 「掛け捨ては、掛け金がもったいない気がする」
30代~40代の人たちの回答
「掛け捨てを選ぶ」と回答した人…27%
「積み立てを選ぶ」と回答した人…73%
回答者の声
- 「無意識にお金を貯められるような気がするので、積み立てがいい」
- 「積み立てのほうが、お得感があるような気がする」
- 「火災は予防できるものなので、保険料の安い掛け捨てでいい」
- 「色々な保険に入っているので、火災保険は保険料の安い掛け捨てでいい」
- 「今は社宅なので掛け捨てだが、マイホームを建てたら積み立てにしたい」[2]
それぞれのメリット・デメリットを理解し自分に合った保険選びを
以前は、確実にお金が貯蓄できる積み立て保険を選ぶ人が多かったのですが、近年では低金利ということもあり、 掛け捨て保険を選ぶ人も多くなっています。それぞれメリット・デメリットがありますので一概にどちらがおすすめということはありません。 各保険のメリット・デメリットをしっかり把握し、自分に合った保険選びをすることが重要です。
とはいえどの保険を選んだらよいか分からないというのが多くの人の心情ではないでしょうか。そんな人たちのために各社への問い合わせ、お見積りを出してもらいました。
ぜひ今後の参考にしてみてください。
見積もり算出の条件
実際に問い合わせて出してもらった見積もりを一覧にしてみました。条件は下記の通りです。
- 保険金額(火災):建物 2,500万円/家財500万円
- 保険金額(地震):建物 1,250円/家財250万円
- 契約年数:火災5年間/地震5年間
- 構造:H構造
- 住まい:東京都
- 地震保険割引:耐震等級割引(10%)
- 建築年数:2012年7月
- 面積:120.00m2
- 基本保証(条件なし):火災・水災・風災・盗難・破損
火災・水災・風災・盗難・破損に関して、条件なく基本保証として受けられる保険会社をピックアップしています。
会社名 | 合算費用 | 火災 | 地震 |
---|---|---|---|
ホームアシスト(楽天損保) | 416,000円 | 197,900円 | 218,100円 |
セコム安心マイホーム保険 (セコム損保) |
418,180円 | 200,080円 | |
マイホームぴたっと (あいおいニッセイ同和損保) |
433,070円 | 214,970円 | |
GKすまいの保険 (三井住友) |
449,090円 | 230,990円 | |
Total assist住まいの保険 (東京海上日動) |
454,460円 | 236,360円 |